飲食店に行くと揃って「スナリ(순하리)1瓶ください」という韓国の若者。
焼肉屋、日本式居酒屋などで人気のフルーツソジュ(焼酎)。人気絶頂の時期は酒類市場でフルーツ味ソジュの占有率が15%ほどだったそう。
フルーツソジュはアンケートから始まった!
ロッテ酒類のアンケートの結果が意外なものだったそう。2013年10月から2014年10月まで4,400名を対象に消費者満足度調査を行なった結果、消費者が焼酎の匂いと味に不満があるという結果が出た。またお酒を気軽に楽しむ飲酒文化が広がり、度数の低いお酒のニーズが増加傾向に。

このアンケートを元にロッテ酒類はアルコールの匂いと特有の苦味を減らし、度数を下げた。その代わりにゆずの果汁を添加してさわやかさを加えると、爆発的な反応をみせた。

フルーツ味ソジュの先駆者は2014年に発売された「スンハリチョウムチョロム(순하리 처음처럼)ゆず味」。当時は売れ切れが続出し、ソジュ界のハニーバターチップと言われていたほどだったそう。

これに続き酒類会社ムハクは2015年5月に「チョウンデイ(좋은데이)カラーシリーズ」という名で、レッド(ザクロ)、スカーレット(グレープフルーツ)、ブルー(ブルーベリー)、ピンク(モモ)を発売、度数も既存商品より下げ、1週間で200万瓶を超える異例的な実績を出した。
フルーツソジュブームの中でも最も遅れて登場したのがハイトジンロ。遅れて発売したのにもかかわらず3日間で160万瓶が売れた。その理由は既存のフルーツ酒中で最も度数が低く(13度)不自然な甘さが抑えられ、特に女性に好まれたこと。
酒類会社の挑戦が熾烈だった2015年はまさにフルーツ味ソジュの全盛期だった。しかし、7月に最高点(12.9%)を記録後、だんだん熱気が冷め始めてくる。
酒類を区別できないほど増えすぎた選択肢に人々は飽き飽きし、焼酎の主な消費層である40代以上の男性にアピールできなかった点が人気下落の要因として指摘される。
飲食店でもフルーツ味ソジュの需要がだんだん減ると、余った在庫を処理できずに困るように。
そうしてマニアだけが飲むようになり、忘れられていったフルーツソジュが東南アジアで思いもよらず成功することとなる。
ストロベリーフレーバー、度数12度の焼酎がウケた!
東南アジア酒類市場はビールと醸造酒に区別される。醸造酒は30度から40度で「度数が高い酒」代表でウォッカやウィスキーがあり、ビールは5度から10度で気軽に楽しめるお酒。

すなわち度数が極端に高いか低いかの選択肢しかなかったとのこと。この状況の中でフルーツソジュは度数「12度」で東南アジアの人々の心をつかんだ。
現地化戦略として「国の事情でおいしく食べるのが難しい果物」を活用。ベトナムなど一部国家ではいちごが高級果物とされている。いちごが栽培されても糖度が低く、輸入に頼っていたためだ。
このようなベトナムの市場を考慮してあまずっぱい韓国のいちごを添加することにより、「おいしく楽しめる酒」となった。

酒類業界(ハイトジンロ)によると、前年比今年の東南アジアへの輸出規模は220%増加し、実際の現地売り上げも20%づつ増加したとのこと。特にカンボジアでは爆発的な人気を博している。
フルーツソジュ再ブーム到来?!
これにより酒類業界も国内販売より輸出目的に開発を始めた。そして発売されたのがハイトジンロ、ザクロエイスル(자두에이술)。今年1月から北米、中華、ヨーロッパなど20カ国に輸出し、8ヶ月で150万瓶を売り上げた。

人気はSNSで広がり、自然と韓国国内でも販売してほしいという声が聞こえ始めた。人々の関心が続くと、結局国内発売が決定され、今はSNSでホットアイテムとしてフルーツ味ソジュが再浮上、再ヒットの声が上がっている。

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